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今、寒田さんを庇う形で飛び出してしまったから、きっと怒っている。 寒田さんが帰った後に、さっきの続きが待っているかと思うと足が竦むけれど。 俺はちゃんとあの人と分かりあえてから、出て行きたい。 こんな別れ方はお互いずっとしこりが残ったままだと思う。 「榛葉さん、よく聞いて下さいね。あいつは複雑な、本当に複雑な生き方しかして来ていません。本音なんて通ることがなかった幼少時代のせいで、口下手でしかも表情も眉間の皺で隠してしまうような人です」 寒田さんは深い溜息を吐くと、クローゼットを開いて、俺にズボンをくれた。立花さんのサイズの大きなズボンを。 「きっと彼は、貴方を喜ばす方法を知らない。だから、俺は彼の後見人として悪いことをキツイ言い方でも学ばせなくてはいけません。きっと貴方に酷い仕打ちをしたら、あいつも落ち込むはずです。許してあげて下さい」 許、す。 気絶するまで無理矢理組み敷かれて抱かれたことを? 監視するようにTシャツ以外の衣服や荷物を奪われたこと? さっきの玩具で俺を鳴かせようとしたこと? 許す、許さないの前に、俺はあの人が怖いままだからきっともう何をしても抵抗できない。 きっと今、それを植え付けられている。 「許せるの前に俺はまだあの人の怖い部分しか知らないので。それより寒田さんは御友人じゃなくて後見人だったのですね。てっきり御友人かと思ってました」 「ああ。25歳の彼が、ゆかりさんの会社を継げたのは俺の発言力が大きいでしょうね」 んん? 「25歳?」 「25歳だよ」 「寒田さんが?」 こんなに大人びていてしっかりしていて、立花さんにも意見してるのに若いのか。 「25歳なのは優征ですよ」

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