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「安心しろ。『酷いこと』はしないから、ここから先は触らない。起たないらしいしな」 そう言うとカッと耳まで真っ赤にした。 「だがキスは『酷いこと』に入らないらしい。なら、もっとしてもいいな?」 「――やっ」 「何故?」 わざと突き放したように冷たく言うと、榛葉は泣きそうな顔で唇をきつく噛みながら、Yシャツの裾を握る。 「こ、――ここがむずむずするからや、だ」 「ここ?」 「こ……こです」 酔った榛葉は無防備だ。 反抗期みたいな一面の反対で、――こういう行為や快感には素直なようだ。 Yシャツを臍が見える位置まで捲ると、青のボクサーパンツが露になった。 先端が濃く青の色に濡れている。 「キスで感じた?」 そう尋ねると余程恥ずかしかったのかポロポロと泣き出した。 「怒ってないから泣くな。我慢できなくなる」 それは本当だ。抑制できなくなりそうだ。 今も必死で自分を抑えている。 「どうして? 泣いたら止めるのが普通じゃないの?」 「お前の泣き顔はもっと泣かせたくなる」 「き、……嫌いだからですか?」 嗚咽をあげ怯えながらそう尋ねられた。 「俺は嫌いな奴をベットに誘ったりしないが?」 「じ、じゃあ財産が無くなるのが怖いから?」 「もっと根本的な事だ」 「…………?」 きょとんとする姿も可愛いが、こんなに態度で示しているのに何故分からないのか。 安っぽい『好き』をお前は必要なのか? 「好きだから?」 「ああ」 「ぎゅって優しくしてくれますか?」 「優しくはできない」 俺も素直に胸の内を吐露してみた。 「抑えきれない。榛葉が愛しすぎて」 涙を手で拭うと、榛葉が乙女のように目をきらきらと輝かせた。 「だからお前に嫌われようとお前を守る」

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