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side:愛沢 榛葉 ズキズキと脳に針が刺さるような痛み。 俺はこの痛みを覚えている。 『あんた梅ジュースと間違えて、梅酒飲んでなぁ、酔っぱらってたで』 祖母にそう言われて起きようとして割れるような頭の痛みに布団から起きられなかった。 それを見て祖母がクスクスと笑う。 『可愛かったでぇ。あんた、普段は遠慮ばかりしてるくせに甘えて一緒に寝たいとか言ってきたりなぁ』 「……………」 18歳の高校時代の苦い思い出だ。 まさかこの年になって祖母に甘えるとは。 お酒の力は恐ろしいと思った。 それと同時に、絶対に酔って人に醜態を見せられないから絶対に絶対に絶対に一生お酒なんか飲まない。 記憶が一切ないのも怖いし。 そう思ってたんだけど……。 「どうした?」 労るように感じたのはきっと俺が痛みに心が打ち砕かれていたからだ。 「頭、ズキズキします……」 「緑が二日酔いにはこれを飲めとお前に用意してた」 「後で飲みます。ごめんなさい……。ちょっと起き上がれません」 枕から頭を少し浮かしたら、ぐわんぐわんと頭が回った。 駄目だ。俺、寒田さんの前でお酒飲んでしまったのかな。 うー。どうしよう。 「榛葉」 立花さんが覆い被さって来たのに、咄嗟に身構えることも出来なかった。 「酔いを冷まそうとペットボトル一本は水を飲ませたんだがな」 そう言った後、俺を優しく仰向けにしたあと、薬を唇越しに流し込んできた。 お腹は確かにタプタプで苦しかったけど、飲み込んだ。 「ありがとうございます。あの、俺、昨日何か貴方に失礼な事を言いましたか?」 頭が痛むので押さえながら片目を開けて立花さんを伺った。

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