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「昨日の事を何も覚えてないのか?」 「はい。恥ずかしながら何も……。本当に失礼なことを言ったならすいません」 「――だから酔いが醒めてからと思っていたのだが」 「立花さん?」 「お前を支配するために、俺は何でもする。お前を守る為なら――自尊心さえ傷つける」 何を言おうとしているのか、二日酔いの頭ではよく分からなかった。 「そろそろトイレに行きたくないか?」 耳元で、――信じられないぐらい優しい声色で立花さんが言った。 「どうだ? いっぱい飲ませたからな」 その言葉の意図が――分からなくて身体が震えていくのが分かった。 「身体の自由、行動の自由、――自尊心。俺に奪われたいのは次は何だろうな」 酔った俺は、立花さんにどれだけ失礼なことをしたのだろうか。 優しく髪を撫でるその手が怖い。 俺の全てを奪おうとしているこの人は、やっぱり俺嫌いなんだ――。

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