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「不器用なんかじゃありません。俺には聞かされてもどうすることもできないんです」 「拗ねてる榛葉さんも可愛いですが、人を疑うことも大事ですね。優征なんて確かに疑いたくなる危険人物ですからね」 「……閉じ込められてるこの状況でそれが分からないわけでもありません」 「でも君には誠実ですよ」 そんな事さえ信じられない。 こんな自分が嫌だけど、傷ついてしまう馬鹿な自分を守るためだ。仕方ない。 「さて。食べた事だし俺も帰らなきゃいけません」 「………帰るんですか」 ゴミを纏めながら寒田さんがその言葉を口にした途端、緊張が走る。 「そんな可愛い顔をされても……。すみません。リューが待っています。そんなに此処が嫌なら俺の家に行きましょう」 寒田さんが手を差しのべてくれた。 だったらこの手を取れば――解放される? 「行きたい……けど、でも」 寒田さんの家にいても解放されない。 「迷うなら、もう少し頑張りますか?」 その言葉に首を振る。 頑張るにはもう色々限界だった。 頑張りたくは……ないけれど。 「……貴方がこんなに優征に怯えるのは無理矢理抱かれたって事でいいんですね?」 バレてたんだ。 泣きたくて恥ずかしくて……視線を反らしてしまった。 「25歳にもなって人の気持ちも分からない。自分の気持ちを言葉にもしない。本当に嫌になりますね。優征は」 憔悴しきった表情で寒田さんが首を振ると、寝室のドアが開いた。 「緑。お前は飾りだけの後見人だ。でしゃばるな」 「貴方こそお飾りの跡継ぎでしょ。あまり勘違いしない方がいい」 寒田さんは余裕がある表情だけど、立花さんは空気がピリピリとするような静かだけど俺を見ようともしない素振りが怖い。 「榛葉さんを無理矢理抱いて、貴方の征服欲は満たされても、榛葉さんの気持ちは満たされたりしませんよ」

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