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コンビニに着くと、立花さんは買い物籠にありったけのシーチキンマヨネーズ味のおにぎりを入れていく。 「あ、の。そんなに同じ味ばかりでは飽きませんか?」 「だったらお前が好きなのを全部入れろ」 ギロリと睨まれたので、お握り一個とメロンパンを入れたら、今度はパンを並んでいるのを一個ずつ買っていく。 「こんなに買って全部食べれませんよね。部下さんに差し入れですか?」 「俺が食べきれなかったら後は全部お前だ」 「えっ」 立花さんが持ってる籠には既に入りきれない程に食べ物がパンパンなのですが。 「お前は少し細すぎる」 「でも立花さん、普段良いの食べてらっしゃるからコンビニじゃ栄養のバランスが」 「――コンビニの飯ぐらい食べたことがある」 ムッと返事を返す立花さんが、今度は後ろから着いてきていた菊地さんに買い物籠を渡し、二個目の買い物籠におまんじゅうやらお菓子やスイーツを入れだした。 それ、全部俺のじゃありませんよね? 「俺はこの前までコンビニ弁当が主食でしたが、こんなに買って食べたらやっぱ身体に良くないですよ」 「――」 「な、なんですか」 目を眇めて……俺を見る姿は、やっぱりヤクザさんみたいに怖いだけなんだけど。 「俺はババアの財産譲られたのが三年前、まだ22で就活中だ」 (立花さんが就活していた時期があるなんて想像できない) とか言ったら怒られそうだから言わないけれども、大学生だったなんて信じられない。 「ババアから援助があったのは成人するまでだから二十歳からはバイトしてコンビニ弁当なんて当たり前だった」 「嘘……」 「俺はお前が考えているような上等な奴でもないしコンビニ弁当ぐらいで身体がどうかなる柔な奴でもない」 「……そ、うなんですか」 苦労なく過ごしていたと思っていたし、 夜の出前の取り方を見ればお金の使い方も普通じゃないと思ったんだけど。 少しだけ立花さんの過去を聞いたら、益々、今の立花さんの言動が奇妙に思えた。 (あ、だから今の裕福な暮らしを守りたいから俺を監禁してるのか)

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