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「肋を数本折りました。あ、紫色になった痕、見ますか?」 シャツのボタンを外し始めたので、佐之助が愉快そうに目を半月にする。 元々、佐之助がババアにつけた護衛か、何を思ったか組を止めババアが死ぬ前まで立花不動産を影で動かしていた男だ 喰えない奴だが、ババアが死んでも佐之助に伝える前に俺の元に弁護士と現れた辺り、佐之助との縁は切れていると思ってはいるが油断はしない。 「菊池」 俺が煙草を取りだし短く名前を呼ぶと、菊池はすぐにライターを取りだし火を灯す。 煙草の煙を吐き出し、煙の向こうの佐之助を見る。 じっくりと、菊池が誰の傘下にいるのかを思い知らせるようにねっとり。 「菊池を守るためにも、あんたを頼るしかなくてね」 「……ただじゃやらんぞ」 直ぐに察したのか、口角を上げたまま表情を崩さない。 「それに菊池じゃなくてお姫様の為だろうしな」

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