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「お姫様……フッ」 菊池が朝の、あの発砲事件の事を思い出したのか鼻で笑い飛ばした。 「何がおかしい?」 「いえ。立花社長、発砲した犯人に『こいつの骨を折る』って脅したんですよ、貴方がお姫様と言ってる方を」 藤宮は榛葉に固執している。 俺が榛葉を引き寄せて、俺の背中に隠したら俺は狙えないと思ったのか舌打ちした。 つまり榛葉には当たらないようにしていた。 奴は、どこの誰かに浅知恵でも植え付けられ、大方俺から榛葉を助けたいナイト気取りなのだろうな。 「お姫様は良い盾だった。だから標的が菊池だけになったしな」 「私が万全だったら犯人を逃しませんでしたのに」 菊池は表情を変えずに下っ端に指示を出し、不安がりパニックになっていた榛葉を宥めていた。 それだけでも他の奴にはできない事だ。 「そんな頼りない王子には、用意してやるしかないか」 ヤレヤレと口では面倒そうに言うが、目はまだ俺をじっくりと値踏みしている。

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