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イけないように根本をキツく結ばれているのに、なんで自分を辱しめなきゃいけないんだ。
菊池さんは普段通りの笑顔なのに、ハンドルを指先でトントン叩きながら――ミラー越しに俺を見ている。
「だいぶ解れてきた」
「ぁっ…ひゃっ」
「今からこの姿で足を開いて、佐之助に懇願すれば俺ぐらいなら消せるかもしれない」
「んんっ」
指が抜かれ、滑りとした指先が俺の腹をなぞった。
「連れて行ってやろうか? 俺が憎いだろ? 佐之助のをここで咥え込んで助けを乞えばいい」
まだ指を抜かれてひくひくしているそこを、立花さんはスルスルとなぞっていく。
俺は、ただ、
二人が危険だって何も考えずに飛び出してしまっただけで、佐之助さんに助けを求めるつもりなんて無かった。
「いや。いや、です」
こんなはしたなくひくつき、胸を尖らせ、硬く涙を流す姿なんて誰にも見られたくない。
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