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榛葉が透けるような白い肌の上に涙を流す。 後から後から。 「貴方が俺をペット以下で扱うから俺は貴方が怖いんです」 躾を――。 人間でも上下関係は学ばせなければ、俺は生意気で反抗的な奴は吐き気がした。 だが俺は。 「俺が『男』で利用価値がないから……佐之助さんを警戒してしまう。俺のせいで」 ぽろぽろと泣く榛葉は、自分を卑下して傷ついている。 いや俺が傷つけている。 「俺はお前で良かった」 「……?」 「俺の花嫁は男でも女でも『榛葉』であればいい。いやお前がいい」 傷つけすぎた自覚はなかった、だが――今、気づいた。 躾れば榛葉は俺の前で笑う事をしなくなる。 見たことがないけれど。 「俺はお前が手に入るならば、気持ちはいらないと思っていたが……」 泣き腫らした目を見て、胸が締め付けられた。 「それは違うのだと、今少し分かった気がする」

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