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「上手く言えないが……」 自分の手の内を見せてしまう気がして、上手く言うつもりもないが……。 どうするべきか少しだけ迷ったが、榛葉の震える身体を見て――胸が騒いだ。 いや、これが他人に対して何か感情が湧き出た印なのかもしれない。 胸が騒いだのではなく、痛んだのか? その折れてしまいそうな腰。 肩に手を置いて身体のラインをなぞりながら腰に手を添えた。 本当はその流れるような美しい黒髪を触りたかったが躊躇してしまったのだ。 「立花さん……」 触ったのに榛葉は、ぶわっと涙を溢れさせて子どものように泣き出した。 首を傾げつつ涙を拭うと頬が熱い。 「――お前、熱があるのか?」 先程から言動がおかしいかと思ったら。 こいつは――。 追い詰めたのは俺だったが、簡単に壊れてしまう榛葉にも苛立ってしまう。 こんなに弱く儚い人間を……あのババアは巻き込んでしまったのか。

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