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「ここが一番安全ですしね。でも、藤宮さえ掴めれたら、芋づる式で拳銃の入手ルートも特定できるんじゃないでしょうかね」
「拳銃の……」
「佐之助さんですね。尻尾ぐらいなら僕だって掴めるのに、社長が僕に危険に突っこむなって言うから傍観しかできないですが」
「……立花さんっ」
リューさんにはこれ以上迷惑をかけたらいけないって事は理解出来たし、ここに居れば安全なのは分かった。
でも、立花さんはじゃあどうして、危険だと分かっていて佐之助さんのところに行ったり、今も、藤宮さんに居場所を知られてるのに仕事に行っているんだ。
あの人は、何も俺に言葉をくれない。
俺が言わなきゃ、何もくれないんだ。
「立花さんに連絡したい」
今は無事なのか、それだけでも聞きたかった。
「僕は、社長経由で此処に来ただけですから、連絡先なんて知りませんよ。ここ、電話も契約してないみたいだし。榛葉さんの携帯は?」
「……此処に来た初日に何処かに行ってしまったみたいで」
「……大丈夫かな。貴方と立花社長って」
全然大丈夫ではない、と思う。
今までだって一度も大丈夫だったことは無いんだから。
結局、リューさんが会社の方へ連絡をしてくれた。
「あのね、榛葉さんに何かあったら大変だから、連絡先ぐらい榛葉さんに教えてくれます?」
俺より若いのかな?
それなのに、物怖じせずに自分の気持ちをはっきり言えるリューさんは格好良良いと思う。身長だって俺より小さいし、見た目は可愛いのだけれど、中身は寒田さんさえ手に余る暴れん坊な感じだ。
「寝室のクローゼットに榛葉さんの携帯があるって。菊池さんが来てくれるみてだから、勝手に開けるなって。変なの」
「――っ」
クローゼット。
リューさんが開けたら卒倒してしまうんじゃないかな。
一番上の右の引き出しは、特に。
俺はもう怖くて開けられない。
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