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「――なんだ」
予想もしていなかった俺の行動に、立花さんが眉を顰めて振り返って来た。
「コンビニ――コンビニで発砲事件があったのに」
「そうだな。どうせ、奴だろう」
「い、行かないでください」
菊池さんもリューさんも見ているのに、俺は両手で立花さんの腕を掴んだにじり寄った。
犯人が捕まっていないのに、すぐそこで事件があったのに、此処なら安全なのに。
ぐるぐると不安が頭の中を駆けずり回って気持ちが悪いくなる。
「それは俺への心配か? 自分が不安だから俺に縋っているのか」
「……りょ、両方です。怖いし、貴方が危険なのも怖い」
「その危険を追い払ってくるだけだ」
「嫌です。こ、ここに居て下さい」
俺が言う事を聞かないのを、立花さんは迷惑そうな顔をする。
傷付くけれど、立ち止まるわけにもいかない。
「この二人の前で、抱いても良いなら居てやろう」
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