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第113話
立花さんは俺のその言葉にあからさまに眉を吊り上げて、煙草を灰皿に押し付けると俺を見下ろす。
「そう簡単に人を信じようとするから傷付く」
「じ、じゃあ、俺が立花さんを信じようとしたら――傷付くんですか!?」
不意に胸ポケットから何か小さな薬入れを取り出した立花さんは、静かに言った。
「俺のすることに何も疑問を持たなければ、傷付かない」
「それって――――んぅっ」
歯でカプセルを噛んだまま、立花さんは俺の両手をベットに押し付けると、口をこじ開けてその薬を舌で押し込んできた。
じたばたと両足を暴れさせても、両手はびくともしない。
片手で俺の両手を頭の上に抑えつけると、俺の口を押さえた。
「ふーーっ んんんーっ」
無理矢理、こくんと飲み干した俺に、次は枕元に置いてあった水を口移しで飲ませて来た。
「ぷはっ」
俺の顎を伝う水を、立花さんは舌で舐めとる。
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