113 / 348

第113話

立花さんは俺のその言葉にあからさまに眉を吊り上げて、煙草を灰皿に押し付けると俺を見下ろす。 「そう簡単に人を信じようとするから傷付く」 「じ、じゃあ、俺が立花さんを信じようとしたら――傷付くんですか!?」 不意に胸ポケットから何か小さな薬入れを取り出した立花さんは、静かに言った。 「俺のすることに何も疑問を持たなければ、傷付かない」 「それって――――んぅっ」 歯でカプセルを噛んだまま、立花さんは俺の両手をベットに押し付けると、口をこじ開けてその薬を舌で押し込んできた。 じたばたと両足を暴れさせても、両手はびくともしない。 片手で俺の両手を頭の上に抑えつけると、俺の口を押さえた。 「ふーーっ んんんーっ」 無理矢理、こくんと飲み干した俺に、次は枕元に置いてあった水を口移しで飲ませて来た。 「ぷはっ」 俺の顎を伝う水を、立花さんは舌で舐めとる。

ともだちにシェアしよう!