114 / 348

24

「何を飲ませ……」 「お前は何も考えなくていい」 ベットに倒れ込んだ俺に、立花さんはゆっくり啄むようなキスをくれた。 必死で立花さんに手を伸ばす。 手の甲に爪痕をつけるぐらい離すものかと、行かせるものかと手を伸ばす。 「いいから、寝てろ」 その声が普段聞いたことのないような優しい声で、俺は力なくベットに両手も沈めた。 「数時間は起きない。危ない薬ではない」 入ってきたリューさんにそう説明すると、菊池さんが俺の横をすり抜けた。 「これ、リューさんはこのクローゼット開けて確認しないで下さいね。榛葉さんは此処、開けられないようになってますから」 パタンとクローゼットが閉まる。 三人はそのまま俺を置いて部屋から出ていった。 玄関が開き、二人が居なくなるのを 舌の下に隠していたカプセルを吐き出した。 俺だっていつまでも立花さんの命令に従うわけない。

ともだちにシェアしよう!