116 / 348
26
ひっ
思わず叫びそうになったけど、咄嗟に口を押さえた。
藤宮さ、ん。
こんなこと言うのは、彼しかいない。
なんで藤宮さんが――俺の携帯番号を?
「藤宮さんですよね?」
『他人行儀って酷いなあ。芳(よし)君って呼んで?』
「ふ、藤宮さん、あの、今、どちらに? どうして――拳銃なんて」
駄目だ。
何から話していいのか頭が上手く回らない。聞きたいことは山ほどあるのに、緊張とパニックで頭が整理できない。
『今ね、佐之助さんに捕まっている。多分――もうすぐ殺される』
「殺される?」
『佐之助さんから頂いた、君を守る為の拳銃だったのに、菊池と言う男に奪われたんだ。最後に君の声が聞きたかったら――電話が繋がった。良かった』
うっうっ
と今度は泣きだしてしまった藤宮さんの言葉に呆然としてしまう。
ともだちにシェアしよう!