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ひっ 思わず叫びそうになったけど、咄嗟に口を押さえた。 藤宮さ、ん。 こんなこと言うのは、彼しかいない。 なんで藤宮さんが――俺の携帯番号を? 「藤宮さんですよね?」 『他人行儀って酷いなあ。芳(よし)君って呼んで?』 「ふ、藤宮さん、あの、今、どちらに? どうして――拳銃なんて」 駄目だ。 何から話していいのか頭が上手く回らない。聞きたいことは山ほどあるのに、緊張とパニックで頭が整理できない。 『今ね、佐之助さんに捕まっている。多分――もうすぐ殺される』 「殺される?」 『佐之助さんから頂いた、君を守る為の拳銃だったのに、菊池と言う男に奪われたんだ。最後に君の声が聞きたかったら――電話が繋がった。良かった』 うっうっ と今度は泣きだしてしまった藤宮さんの言葉に呆然としてしまう。

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