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電話はまだ繋がっている。 藤宮さんは、泣いたり怒ったり、笑ったり。 受話器越しでも、様子がおかしいのは分かっていた。 でも、俺は――その声も耳から遠のいて行く。 さっき、クローゼットを菊池さんは開けていたはず。 それで、――あの場所を開けた。 立花さんが俺に絶対開かせないようにわざと恐怖を植え付けたあの、クローゼットの一番上だ。 震える両手で、その一番上の引き出しを開けた。 使用した玩具は処分されたのか、知らない玩具ばかりだったけれど、その中に、茶色い紙袋が置かれている。 持つとずしりと重たくて、背中が凍りついた。 廊下からはまだシャワーの音が聞こえてくる。 全てが――全てが揃いすぎたぐらい揃った状態だった。 チャンスは今しかない。 今しか――。 「ふ、――藤宮さん。俺」

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