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Side:愛沢榛葉 気づけば――知らない部屋の一室で、ベットに縛られていた。 両手を上にあげた状態で縛られ、足も右足だけ鎖がベットの足に付けられている。 その横のソファで、藤宮さんは二丁の拳銃を鼻歌交じりで磨いている。 俺が藤宮さんに渡してしまった拳銃は、――立花さんが入手した拳銃だったしい。 俺は、それを意図も簡単に藤宮さんに渡してしまった。 「おい、始めるぞ」 部屋をノックされ、中にぞろぞろとお伴を連れて入って来たおじいさんが俺を見た。 優しそうな目元なのに、全く笑顔が笑っていない。 きつねのような目を、半月の様に歪ませて笑うと、俺の枕元まで近づいてきた。 「初めまして。愛沢榛葉さん。私は立花佐之助。優征の叔父にあたります」 丁寧に説明してくれたのに――俺は凍りついた。 佐之助……。 「この前は、時雨荘まで来て下さったのに、挨拶出来ずすいませんね。――お楽しみを邪魔しても無粋でしょう」

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