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第121話

その言葉に頬が真っ赤に染まる。 もしかして車の中で立花さんにされていてことを、見られていた――? 「こんな状態で挨拶すいませんね。申し訳ないけれど、もう一つ」 混乱し、赤面する俺に対し、佐之助さんは藤宮さんを睨みつけた。 「優征に挨拶するから、お前が撮影するんだぞ」 その言葉に藤宮さんがにたりと笑い、ベットサイドに用意してあった家庭用のビデオカメラを回し始めた。 「何を――」 「優征の花嫁が男だという証明を」 その言葉を冷たく吐き捨てると、藤宮さんの手が俺の胸元に伸びる。 「い、いやああああ!」 ビリビリと破れ、ボタンが飛んで行く。 寒田さんが俺の為に買ってくれたパジャマだったのに。 じわりと目頭が熱くなったけれど、泣きたくなくて唇を噛みしめた。 「綺麗な――白い肌。やはり君は芸術作品だね」 うっとりと藤宮さんがそう言うと、俺の臍を指先でぐりぐりとほじる。

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