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第124話
剃刀が肌に当たり、怖くて震えてしまっても、泣くのだけは我慢しよう。
「榛葉さん、カメラに向かって、立花に早く助けに来てって言って頂けますか?」
「――っ」
誰が、言うもんか。
これ以上、あの人に迷惑かけたら俺はただ皆に不幸をばらまいて迷惑だけかけて消えていくようなものだ。
「ああ、俺の榛葉。可愛いよ、赤ちゃんみたいにツルツルの肌」
剃り終わったソコを、藤宮さんが丁寧にタオルで拭いて行く。
すうすうと直接肌に風が当たる。
情けない恰好で――情けない姿で、本当に馬鹿な俺にお似合いだ。
まだカメラは回っている。だから、俺は小さく息を飲んでから、ふっと小さく笑う。
「ねえ、藤宮さん」
「どうしたの? 俺の可愛い榛葉」
「んっ キス」
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