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第126話
「してないです。疑うなら、見て下さい」
カプセルは俺がそのまま飲み込んだ。
だから、少ないかもしれないけれど、俺にも効果は現れてしまう。
でも、即効性の睡眠薬だったら、このまま何かされる前に眠ってくれるかもしれないし。
「へえ。見ていいんだ」
「藤宮」
カメラを後ろの護衛の黒服に渡しながら、佐之助さんが短く名前を呼ぶ。
すると、躾けられた犬の様に藤宮さんは佐之助さんの後ろへ戻って行く。
顔は口惜しそうだ。
「一時間ずつ、だ。次は全部脱がせて、イクところでも撮影して送ってやろうかな」
顎に手を当てながら佐之助さんは考え込んでいる。
「一時間ごとに辱めた映像を送りつけて、そうだね。24時間後にはもう用はないから藤宮に渡そう」
――24時間後。
それまで俺に何をしようかと、妖しく瞳を光らせているけれど。
俺は何をしても抵抗しないし、泣いたりしない。
俺を人質に立花さんに何かしようと思っているかもしれないけれど。
俺にはそんな価値――。
『榛葉でいい、ではなく榛葉がいい』
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