127 / 348
第127話
俺に、価値なんてない。
価値なんて無かった。
子供のころから、俺は誰にとっても邪魔な存在でしかないのだって諦めて生きて来た。
貴方に会おうまで、貴方が俺が良いって言うまで、俺自身、俺に価値なんて見出せなかったんだ。
このまま、価値の無い、どこにでもいる、ただの馬鹿な自称不幸体質のまま、諦めた人生を送れたらそれでも良かった。
たまに、ゆかりさんとの出会いの様に、老人と髪を切りながら会話とかすれば、幸せだって思っていた。
貴方は、俺のつまらない人生をめちゃくちゃに壊して、めちゃくちゃに俺の心を砕いて、閉じ込めてでも守ろうとしてくれた。
貴方だけが、俺に価値があると言って、貴方だけが俺の不幸に巻き込まれようとしている。
ごめんなさい、立花さん。
今度、いつかまた会えた時には、もう少し優しい貴方が見える気がしたけれど、この先会えるのかな。
ともだちにシェアしよう!