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第130話

「それ以上、喋るなよ」 「!?」 俺の口に押し込められたのは――俺が藤宮さんに渡してしまった拳銃と同じ種類の――もしかしたら俺が渡してしまったものかもしれない拳銃の銃口。 「んうっ」 口の中に、銃口をぐりぐりと押し込められて、喉がえずいて気持ちが悪い。 「堅気じゃねえ俺がゆかり姉さんの元に通えるわけねーだろうが」 口から離された拳銃は、俺の唾液の糸を引きながら、首をなぞり、ゆっくり胸から臍まで撫でていく。 冷たくて無機質な拳銃。 引き金を引けば、俺なんて簡単に消えてしまう。 「お前も優征も、ちょろちょろしやがって。いいか、財産なんざ、興味はねえ。私が興味あるのはな、お前ら二人が――」 二人が――? 何を言おうとしたのか分からないまま、突然佐之助さんは黙りこんでしまった。 「まあ、アイツが来るまで、君の具合でも見てみようかな」 「具合?」 着物の袖口から佐之助さんはローションを取り出すと、腹に置いてあった銃口にかける。 そのままお腹にもかかり、冷たくて思わず声が洩れてしまった。 「ここの具合ですよ」 「あああっ」 冷たい銃口が、肉を割って奥へ入ってくる。 思わず、全く心の準備なんてしていなかったので痛みで涙が込み上げてきた。

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