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第131話
「榛葉くん、知ってましたか、ここは排泄する場所で、――何かを入れる場所ではないんですよ?」
「ひっ」
今、引き金を引かれたら――俺、間抜けな格好で死んでしまうなと思いつつも、
その無機質な冷たい感触と、痛みに声が声にならない。
息と一緒に声を小さく吐き出すのがやっとだった。
「流石にこれは痛いですよね。可哀想に」
可哀想と言いながらも、手は離したが抜こうとしない。
歯がカチカチと震えて、口もパクパクと情けない。
「自分で、抜きなさい。力を抜いて、押し出すように。出来ますよね?」
「で、できなっ」
「――出来ないなら、引き金部分まで押し込んであげます。締めつけた瞬間、引き金も引いてしまったりしてね」
くくくと下卑た笑いを浮かべながら、佐之助さんはビデオを回しだす。
そんな、馬鹿な話あるはずないし、締めつけたからって引き金が引かれるわけがないって分かってるのに。
この状況が、俺に冷静な判断を鈍らせた。
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