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第134話
Side:立花 優征
佐之助が、ばばあの屋敷が欲しいと言ったのを妙だと思っていたが、おかげですぐに見つけられた。
佐之助は、ばあさんが住んでいた山の奥のあの小汚い屋敷に榛葉を浚っていた。
わざと分かる様な映像。
俺をおびき寄せようとしていたのは明らかだった。
「くそ」
菊池と乗り込んで、目に着いた人間を片っ端から片づけていく。
殺してもいいと、加減もせずに急所を一発殴るか深く蹴る。
くそ。
くそ、くそくそくそくそ。
あんな映像で、怒りで冷静な判断を欠くようなことはないつもりだったが、
榛葉からあの汚いストーカー野郎にキスする映像なんて、腸が煮えくりかえるしかないに決まっているだろう。
佐之助のことを熟知している菊池の言うとおり、下っ端は見掛けだけで銃を持っているような輩はいなかった。
だったらとことん、ストレス発散に使わせてもらう。
二階の踊り場で出くわした下っ端を容赦なく階段から蹴り飛ばし、菊池が脅して情報を探る。
そうしてちゃくちゃくと榛葉の元へ向かっている時だった。
「逃げたぞ! 捕まえろ!」
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