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第137話
「……」
答えない代わりに、榛葉は俺のベストを握り締める。
「藤宮はどこだ?」
情報を集めていた菊池に尋ねるのと、佐之助が俺達の前で足を止めたのは、ほぼ同時だった。
「藤宮なら、そこの榛葉くんが盛った睡眠薬でぐっすりですよ」
「ははっ 佐之助さん、噛まれた部分、大丈夫ですか? 可哀想に」
菊池が手で口を覆いながらも、堪え切れずに噴き出している。
「たった二人で乗り込んで来て、大層余裕なようで」
佐之助がじっとりと榛葉を見るので背に隠し、俺も口角を上げて憐れんだ視線を向けた。
「あんなDVDを送るぐらい暇そうで羨ましいが、今日はただの挨拶だから二人で十分だ」
榛葉の頬の赤みや、剃毛のDVDよりも藤宮に榛葉からキスをしたことが一番腹立たしかったがぐっと堪え、それだけを言った。
「俺はやられたら、――倍返しじゃすまない。覚えておけ」
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