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第142話
一喝するような怒鳴り声に思わず強く立花さんのベストを握り締める。
佐之助さんは、きっとゆかりさんが本当に大切で、
堅気の身ではないからと、影から守っていたのかもしれない。
あんなに、凛として優しくて綺麗な御婦人だった。
きっと佐之助さんも、ゆかりさんを慕っていたんだ。
だから、飄々とゆかりさんの財産とゆかりさんの居た場所に立花さんが居るのが許せないなんて、それは怒りをぶつけるのはおかしいはずだ。
立花さんに嫌がらせをする理由にならない。
「あ、貴方に立花さんが土下座するわけないです! ゆかりさんの為なら俺を立花さんをおびき寄せる道具にする様な人に! 絶対しません」
「そーだそーだ」
菊池さんも面白がってチャチャと入れてくるので、ちょっと冷や冷やする。
「はっ 土下座で榛葉から手を引くなら安いもんだ。なんならお前のその汚い足でも舐めてやろうか」
笑いとばした立花さんは一歩、佐之助さんに近づく。
「お前は俺がお前に屈服すれば満足なんだ。ババアの為じゃねー。自分の存在を唯一分かっててくれたババアの代わりに俺に見せつけたいだけだ」
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