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第146話

さっきの睡眠薬のカプセルのせいか、気を抜いたら意識が遠のきそうな場面なのに、嬉しいと思ってる。 俺の為に怒ってくれる人がいるなんて、と。 「佐之助さんに触れるな!」 また俺の後ろから発砲音と火薬の匂いがしてきた。 俺と菊池さんの間にあった部屋のドアから、手が伸びてきていた。 「ふ、じみやさっ」 片手で頭を押さえながら、よろよろと藤宮さんが出てくる。 「っち。外したか」 立花さんが佐之助さんを地面へ叩き飛ばすと、小さくよろめいた。 立花さんの左足の太ももが真っ赤に染まって、血が床へポタポタと流れていく。 「立花さんっ!」 撃たれてしまったんだ。 駆け寄ろうとした俺の髪を乱暴に掴んで、藤宮さんは俺を引き寄せると剃刀を首に当てた。 「お前は佐之助に利用されただけだ。榛葉から手を引け」 撃たれたはずの立花さんは表情を変えずに冷静に藤宮さんに話しかけている。

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