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第149話

優しい人だ。 「俺がしっかりしてなかったから、貴方にこんなことをさせてしまってスイマセン。でも、俺は、もう少しだけ立花さんの事も理解しようって思うんです。佐之助さんだって、立花さんだって、譲れない事情や信念があっただけで」 「そうやって君は自分から不幸へ飛び込んで行くんだ! いい加減、自覚するんだ。君を守れるのは俺しか居ないってね」 再び――藤宮さんは拳銃を立花さんへ向けた。 違うのに。 ただ俺は、――優しくされたいと自分に価値が無いくせに嘆くだけの馬鹿で、 この状況も、俺が立花さんやリューさん、寒田さんたちの話を聞いていたのに騙されたからで。 不器用だけど、俺を守ろうとしてくれた立花さんは、俺の今の状況の原因ではない。 藤宮さんだって。 俺は剃刀を当てられたまま、銃口の先に手を伸ばして、身体を捩って両手で銃口を隠した。 その先に、首に剃刀が食い込んでも――俺が銃口から手を離さなかった。

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