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第150話
「榛葉っ 離すんだ! こいつを殺させてくれ!」
暴れる藤宮さんに、俺は必至で食らいつく。
言葉を伝えるのも下手。
そんな俺に出来ることは正面からぶつかることだけ。
「離せ!」
「あっ」
壁に拳銃もろとも叩きつけられると、目の前がチカチカと光った。
意識が遠のくけれど、俺は必至で手に力を込めて意識を取り戻そうとした。
「撃てるものなら、―――さっさと撃ってみろ」
――あっ
俺と藤宮さんが争っている間に、立花さんが俺のすぐ後ろまで来ていた。
「どちらの狂気が榛葉を苦しめるのか――撃って証明してみろ」
「っく。この地獄へ落ちろおおおぉぉぉぉっ」
「立花さん!」
手を伸ばす。
せめて押し倒せば――銃弾から逃れられる。
最後の力を振り絞って、立花さんに覆いかぶさるように抱きついた。
「お願い! この人を殺さないで」
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