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第153話
車に乗り込んで、菊池さんが発進させるまで俺をずっと抱きしめてくれていた。
そして、俺の首筋から垂れる赤い血を、立花さんが舌で舐めとると、ぱたりと俺の腕の中へ倒れ込んだ。
「立花さん? た、立花さっ」
「意識が飛んじゃいましたかー。早く病院行かなきゃその出血もヤバそうですね」
菊池さんのその言葉に、腕の中へ倒れた立花さんの顔が青ざめているのが見えた。
「菊池さん! 急いで病院へお願いします」
「勿論です」
菊池さんがアクセルを全開に車を走らせると、その揺れで立花さんが落ちないように俺は必至で抱きとめた。
「立花さんっ …立花さんっ」
立花さん、立花さん。
うわ言のように、何度も何度も名前を呼びながら涙がとめどなく溢れて来て胸が苦しい。
俺なんかの為にどうして。
俺は、俺を不幸にするのは自分のせいだからと諦めが付いたかもしれない。
でも、俺のせいで誰かが不幸になるなんて――。
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