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十、月夜の光に照らされて。
Side:立花
手術はそんなに時間は取られなかった。
銃弾は貫通していたので、摘出手術もなく、骨や神経にも損傷は無かったらしい。
藤宮が一連の事件や俺を撃った事を自供したために、俺が撃たれたことで芋蔓式で密売ルートがばれたりすることはないだろう。
が、なかなか鼻が効くのか五月蝿い警察が病院内をうろうろとしていてゆっくり出来なかった。
暫くはマスコミも仕事場に来るかもしれないとうんざりしていたが――菊池が根回しに慌ただしく動いてくれている。こんな時は、影響力がある芸能事務所の寒田が圧力をかけてくれるのもなかなか便利で――。
「立花さんっ 起きたんですか!」
そんな暗躍をうとうとしながらしていただけだったが――榛葉が枕元で、俺の傍らでずっと俺が起きるのを待っていたらしい。
昨晩も手術中、寝ないでずっと待っていたらしいが、手術が終わったと当時に安心して気絶するように眠ってしまった。
そんな榛葉を離したくなくて、一人部屋の病室にわざわざもう一台、ベットを用意し、そこに寝かせていた。
その榛葉が目覚めて一番に、俺の枕元に寄って来たというのだから―――それ以上の歓喜はないだろう。
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