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第159話

両手で頬に手を当てながら、榛葉は真っ赤な顔で俺を見る。 困ったような、嬉しい様な、緊張した様な。 そうだ。 ばーさんの前ではお前はそんなふうにくるくると表情を変えていた。 なのに、俺の家に来てからはずっと強張った表情しかしなかった。 色っぽく鳴いて、崩れる様に泣いて、怖がって優しくして欲しいと強請るだけ。 「安っぽい言葉でお前は安心するなら俺は幾らでも吐けるが、そんなの俺は煩わしい」 好きだ、愛してる、お前だけだ。 そんな言葉で榛葉が安心するならば、安いドラマの様に並べ立てて毎日、耳元で囁いて良い。 そんなことでお前が逃げ出さないならば。 「うー。俺、もう、もう自由なんですよね? 借金もないし佐之助さんも手を出して来ないし、ふ、藤宮さんも壁の向こうなら、貴方に監禁されないんですよね?」

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