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第161話

「お前が悪い。お前が俺を煽るんだ」 「煽ってなっ」 お前がそんな風に、ぐずぐずに泣くのを俺は耐えられない。 「榛葉、こっちへ来い」 ベットの左端に寄り、右に空間を作ると、ポンポンとその場を叩く。 「え、でも、立花さん、怪我――」 「良いから、一緒に寝る。来い」 榛葉はどうすればいいのか周りをきょろきょろ見回したが、観念したように真っ赤になりながらベットに入って来た。 「榛葉」 「こ、今度は何ですか?」 「これからも俺の傍に居ると誓え」 誓え――。 乱暴な言い方になってしまったと一瞬焦ってしまった俺は、既に情けない奴になってしまっている。 だが、本心だ。 「優しいキスをしてやるぞ」 乱暴な口調なのに、その台詞は榛葉を求めて懇願している。 榛葉もそれに気付いたのか、おずおずと俺の唇に自分の唇を合わせた。 「お、お願いしてもいいですか?」 布団を掛けて向き合って眠りながら、榛葉がおずおずと言う。

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