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第176話

「立花さん、まだ寝ないんですか」 「ああ。もう少し」 何度も寝がえりを打っていた榛葉に、リビングへ行こうかと尋ねたが此処で仕事して欲しいと言われそれに甘んじていた。 だが、やはり榛葉が寝るのを邪魔してしまっていたらしい。 すると榛葉はベットの上でむくりと起きて、ゆっくり地面に足を着かせるとぺたぺたと俺の元へ歩いていく。 「俺――、俺」 何を言いたいのか自分でも分からないのか戸惑って視線を泳がす。 「どうしたら立花さんは俺の隣で眠ってくれますか?」 「なんだ。一人で寝るのが寂しいのか?」 フッとつい馬鹿にしたように笑ってしまうと、榛葉が泣きだしそうな顔で下を向いた。 「お、れは、貴方の身体が心配で――」 「俺もお前の体を心配してる」 抱き壊して次の日起きて壊れないような無理をさせないように、我慢している。 こんなに俺が心配してやってるのに。 「と、隣に来て下さい」 最後の方はを小さく消えそうな声だった。

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