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第180話

キスが身体中を優しく流れていく。 はっきり言って、立花さんは乱暴と言うか、途中で理性が無くなると言うか、俺が泣いて懇願しても止めてくれない部分がある人なんだけど、昨日は違った。 キスも、愛撫も、俺の髪を掬う指先も優しくて。 嬉しいんだけど、照れくさいんだけど、俺はもっと、俺の身体なんてめちゃくちゃにして欲しかった。 最初の頃の様に、疲れて意識が飛ぶような、荒々しい行為で良かった。 不安の種を考える間もないように、これ以上育たなくなるように、俺の時間をがんじがらめに縛って拘束して欲しい。 「……俺、変態になっちゃったのかな」 前までは嫌で嫌で、カーテンにくるまって抵抗したこともあるのに。 すっごく嫌で、泣きだしそうだったのに。 俺、どうしちゃったんだよ。 「コンバンワ、榛葉くん」 「うわっ 寒田さんっ」 ぼーっとしながらマンションで珈琲を沸かしていた時だった。 冷たい声で寒田さんが後ろに現れた。

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