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第181話
「俺が後ろにいるのを気づけないなんて、ちょっと君、隙がありすぎじゃないかな」
「寒田さんっ」
「二度目は許しませんから」
「……っ」
寒田さんは、あの時俺がのこのこ藤宮さんに浚われた事を怒っていて、会えば説教してくるんだけど、今日も辛辣だった。
いや、俺が悪いんだし、本当に反省していない証拠だよ。こんなの。
「珈琲に何時間かかる?」
立花さんでさえ、心配して覗きに来るほどだった。
「ごめんなさい」
「後は寒田に任せて、お前は早く来い」
「あ、あの」
強引に腕を取られると、一人でお酒を飲んでいた立花さんの横に座らされた。
アルコールのツンとした匂いが、立花さんから漂ってくる。
嫌いなんだけど、でもドキドキするのは、俺が今夜も期待しているからなんだよね。
「ちょっと、最近、優征は榛葉くんに甘いんじゃないですか? もう少し厳しくするべきです」
後ろから寒田さんの声がして慌てて立花さんの服の裾を掴んだら、凄い形相で睨まれた。
「俺は優征は怖くないですから助けを求めても駄目です」
「ごめんなさいっ」
「寒田。俺の榛葉に偉そうにするな」
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