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第183話

「これ、発信器付きだし、少量の電流も遠隔操作で流せます。ぺットの躾用らしいですが、自分では外せないし。貴方に丁度いいんじゃないですかね」 「緑。いい加減にしろ」 「貴方の影に隠れてぬくぬくしてるままじゃ、この子、本当に変わらないですから」 「こいつが自分の価値がないと諦めてるなら、俺がその倍、大切に扱って価値を見出させれば良いだろう。さっきから榛葉が怯えているから、説教ではなく、自分が何も出来なかった怒りの八つ当たりをぶつけたいだけならば、帰れ」 立花さんがその倍……。 そんな言葉を、貰えるとは思えなくて不覚にも泣きだしそうになってしまって下を向く。 寒田さんも立花さんのその言葉に目を見開いていた。 「一番怖がらせていた貴方が、大層なことを言うようになりましたね」 「っち。榛葉、お前、ちょっと部屋に戻ってろ」 埒が明かないと思ったのか、立花さんはこれ以上、寒田さんと俺が傍に居るのを嫌がった。

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