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第184話

「榛葉君の部屋って玄関に一番近いんじゃないですか?」 「いい加減にしろ!」 今にも殴りかかりそうな立花さんに俺は必至でしがみ付いた。 「俺が悪いのに寒田さんを怒らないでください。それに寒田さんが言っていることは本当だし、俺ももっとしっかりしなきゃいけないのに、最近さらにしっかりしてないからっ」 俺は寒田さんから首輪を奪うと、自分の首に嵌めた。 「大人しく部屋にいます。あの寒田さん」 不機嫌そうな寒田さんは、俺を一瞥しただけだ。 いつも優しかった寒田さんから冷たくされると、本当に悲しいけれどでもそれは、俺の信頼が地に落ちたことを意味するから仕方ない。 でも、そんな反応されたら、――会話するのが怖くなるのも本当だ。 「ごゆっくりしてください」 「榛葉、すぐ行く」 寒田さんは答えなかったけれど、立花さんが答えてくれた。 それは胸が温かくなるぐらい嬉しい。

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