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第187話
「今は、事件でできた傷の心のケアが必要だ」
「優征にしては真っ当な考えだし、お前も成長できるんだと感心させられたけど、心のケアなら専門家の方がいいんじゃないか?」
そこまで深刻なものではない。
今、榛葉は、咳をきったかのように甘えたい気持ちが溢れ出ているだけで、逆に専門家に見せれば更に弱ると思う。
全て俺の推測だから、間違えている確率の方が高いかと思うが。
「お前が癒せるとでも思っているのか、優征」
「ふ。そこまで驕れるか」
ただ、今はまだ本当の榛葉と心が触れ合っていないような自覚はある。
「だが、榛葉を今は追いつけるな。今日のお前はやり過ぎだ」
「はあ。よもや優征に注意されてしまう時が来るとは」
寒田は珈琲を飲みながら溜息を吐いていたが、もうそれ以上は口を噤んだ。
今日の榛葉の態度を見て、色々合点がいくことがあったのだろう。
俺もそれ以上は言わなかった。
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