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第214話
楽にして欲しい、解放して欲しい。
身を捩りながら懇願すると、立花さんがにたりと笑った。
俺をそのまま起き上がらせて、胡坐の中に閉じ込めると、俺に剃刀を持たせた。
「だったら自分で剃れ」
頭の中も体もとろとろにされて、まともな思考なんてきっともうできないだろう。
でも、きっと恐怖で身を強張らせるよりはマシだ。
ちくちくと生えていたそれらを、剃刀で剃っていく。
震える手を、立花さんが支えてくれた。
いや、自分で触らないように監視も込めてだと思う。
自分で再びツルツルにしてしまったそこに、もう恐怖も羞恥もない。
あるのは、立花さんに開発されてしまった、情けない身体だけ――。
「手が震えているぞ。怖かったか?」
タオルで優しくクリームを拭きとりながら、立花さんが俺の手の震えに気づく。
そのまま腕を取られ、指先を舐められると、違う場所がびくんと震えた。
意地悪だ。
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