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第227話
「置いてきた」
榛葉がつい言葉から出てしまった告白だとしても、あの場面で怒ったり怒鳴ったりしては傷つけると思ったので、リューを呼びだしておいた。
呆然としていた榛葉は、ベットの上で座りこんでいた。
今日はもう仕事できる思考回路ではないだろうし、昨日無理させた分もあるから休めばいい。
「社長」
菊池は少しだけ間を置いて、珈琲に砂糖を入れ出した。
「一方的に相手を傷つけるのは駄目ですが、一緒に傷付きあうのは恋人になるのならば良いんじゃないでしょうかね?」
「は?」
「私と佐之助さんみたいに、時間が立ってしまうともう普通の恋人なんて死んでも無理。榛葉君をこのまま愛人みたいな位置で宙ぶらりんにして良いんですか?」
「――愛人だと?」
「そうです。きっと社長に言葉を貰っておらず、見捨てられたと呆然としているんだと思いますよ」
煙草を机に落としてしまい、もう触りたくもなくなってしまう。
面倒くさかった。全てが。
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