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第234話
『そしていつまでも綺麗でいたいと思う女としての自分の醜い部分。
貴方に出会ったのは、そんな時でしたね。
貴方は私の白髪交じりの髪を綺麗だと触ってくれた。
私は白髪が増えてきた自分の髪を汚く思っていたのに、貴方は本当にうっとりと触ってくれて、染めるのも勿体なさそうにしてくださった。
貴方は本当に、純粋に会話を楽しんでくれるだけ。
私に何も望まない、何もねだらない。
甘え下手なのに、こちらから近寄ると嬉しそうに尻尾を振ってくれる。
貴方が笑いながら、離婚した親に必要とされていなかったこと、おばあさまが亡くなってから誰かと会話したくてこの仕事を始めたこと、そして大学に行ってもう少し勉強してみたかったことを話してくれた。
貴方は全て諦めて笑っていたけれど、貴方が恵まれなかった子供時代を生きていたのを私は何で早く出会って抱き締めてあげられなかったのか本当に辛かった。
貴方には――何かをしてあげたいって思えた。
それであの子を思い出したの。
きっと私があの子の子供時代を無茶苦茶にしてしまったガリガリの子供』
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