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第237話
もっとゆかりさんと話せばよかった。
毎日通えばよかった。
たまに来る俺の事をこんなに理解してくれて、言いたくもない葛藤を吐露してくれて、――こんなにもこんなにも俺は大切にされたことなんてきっと無かったのに。
どうしてもっと、もっと彼女の傍で話しを聞いてあげられなかったのだろう。
後悔してた彼女のその重い荷物を全て俺が持ってあげればよかった。
立花さんが、――望まれない子供で愛情を貰えていないと書いていたけれど、ゆかりさんはそれでもずっと心の奥では気にしていたんだ。
彼の今までの行動とか俺への扱いとか、ちょっとだけ分かった気がする。
許す許さないの問題ではないけれど、立花優征という人を理解するには大事な証言だと思う。
胸を締めつけるのは、彼女の寂しそうな穏やかな微笑みだ。
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