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第245話

真っ赤な目で言うと、拳をぎゅっと握った。 「俺、もっと強くなって、俺が年上だし、俺が立花さんをちゃんと受け止めてあげられるような大人にならなきゃ駄目だなって手紙を読んで思いました」 「手紙には何が書かれてたんだ」 いつの間に、そして何処で呼んだのかと勘ぐると、緑の仕業であることは間違いない。 俺の後見人に立候補して来たぐらいだ。 きっとあのばーさんと何か約束でも交わしていたのだろう。 「俺、専門学校に行こうと思ってて。ゆかりさんのお金少しお借りしてあとは、訪問散髪のバイトもまた少しずつしていけたら行こうかなって。まだ手は震えちゃうんですけど。へへ」 ばあさんの手紙を読んだ榛葉が、両手を震わせながら少しずつ――自分のしたいことを口に出している。 俺に聞いて欲しいというのは、つまり。 「この家を出ていくということだな」 その言葉にはっとし、息を飲みのが分かった。

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