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第246話

「も、菊池さんとお手伝いはでませんっ俺、俺――変わりたいです。貴方が一人で今まで頑張って来たのに俺だけ甘やかされてるのって駄目だなって。こんな、今の俺の姿、ゆかりさんに見せられないなって――俺」 ぽろりと流した涙は、真っ赤に腫れた目を潤ませていく。 「俺がもっとしっかりしていたら、きっと貴方と初めて会った日も、あんなことにならなかった。あれは俺が弱かった結果なんです」 「それは、違う。お前を無理矢理抱いたのは俺が――」 俺がお前を欲しかった。 恐怖で屈服させてやろうと、そこまでしてもお前を欲しいと思って。 俺はお前を何も見ていなかったんだ。 言おうとして、迷った俺の唇に、榛葉は苺を押し付けてきた。 「どうかその先の言葉は、俺が成長するまで待って下さい」 「俺はお前を離さないと言ったが」 「決めたんです。怒らないでくださいっ」 怒っていないが、俺は今、自分の今までお前にしてきた事を後悔しているのかもしれない。  

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