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第247話
最初から俺は、お前とどう接していいか分からず力で抑えつけてでも離したくなかった。守りたかった。
お前がどうしても離せないくせに、言葉で安心してやることもせず、
傷つけてばかりだったのに。
「此処から通える専門学校にすればいいだろう」
「そーゆう問題じゃないって、言ってるじゃないですか」
榛葉が変わろうとしているのに、俺が行くなと声をかけても決心は鈍らないだろう。
だが、力で抑えつけて監禁でも何でもしてしまえば、簡単に捕えられる。
それを、――今の榛葉にするのは違うと分かっていた。
「俺からは一つだけだ」
「はい」
「出ていくときに、別れの言葉を吐くのは許さない」
「――はい」
苺を、腕を捉えて指ごと平らげると、――そのまま口の中で指に舌を絡ませる。
「っ」
指と指の間まで舌で刺激しながら、俺は榛葉の夢を応援してやる気のきいた言葉が出てこなかった。
苺をまた一つ、ケーキから取ると口に咥えた。
そのまま榛葉の口に押し付けると、榛葉はおずおずと苺に小さく噛みつく。
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