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第248話
Side:愛沢 榛葉
今日、俺は。
この人と離れたくないから、――この家から出ていくことを決意した。
この人が孤独で、不器用で、言葉をくれなくても。
俺はこの人が好きだと思う。
でも今の俺は弱いから。
すぐ怖いって泣いて立花さんを傷つけてしまうから。
強くなって、立花さんを受け止めてあげたいって思う。
強勢を張らなければ一人で生きていけなかったこの人の不器用さを俺は全て受け止めたいから。
苺越しにするキスは甘くてなのに、涙が出るぐらい悲しい。
そのまま立花さんが舌で押し潰して口の中に苺の味が広がって――唇が深く深く重なって飲み込まれて――一つになってしまえば良いのにって思う。
立花さんの首に腕を回してぎゅっと抱きしめると、腰を引き寄せてくれた。
もうケーキとか、口の中に甘さを残す苺とかどうでも良い。
今は俺がこの人の頭の中を一杯にしてみたいんだ。
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