249 / 348
第250話
あ、あれ――?
ネクタイ、ほどけない。
ネクタイ、どう解くんだっけ。
あれ、あれあれ。焦れば焦るほど、解けなくなる。
格好良く立花さんの服を脱がす予定が!
「榛葉、まだか」
「――!」
びくんと仰け反ってしまったのは、立花さんが背中のラインをなぞったからだ。
背中をなぞり、苺で濡れた首筋から臍まで指で輪郭をなぞると、そのままズボンのファスナーを下ろしていく。
手慣れ過ぎていて悔しい。
「遅いぞ。腰を上げろ」
「ま、待って下さいっ」
言われたとおり、腰を浮かすとズボンが足元に落ちる。
向き合って抱きあっているのに、俺だけわたわた。
「ね、ネクタイ」
「ネクタイがなんだ?」
分かっているのに、いじわるだ。
「解けないです」
助けを求めるように立花さんの目を見上げると、何故か一瞬怯んだ気がする。
「その眼は――やばい」
ともだちにシェアしよう!