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第255話

苺でベタベタな服を脱がされ、床に落とす。 そのまま俺が立花さんの服を脱がす。 一枚ずつ脱がすたびに、キスされてもう甘すぎて蕩けてしまうんじゃないかなって呆れてしまう。 俺、この人が怖かったのにな。 どうして――どうしてこんなに。 「何を考えてる」 余計なことを考えるなって睨まれた。 そうだ。 その目も怖かったのに。 今は拗ねてるだけだって分かる。 意外と――感情が目に出るんだ。言葉のかわりに、ね。 じゃあ、俺がいっぱい言葉をあげようって思う。 「立花さんのことしか考えてないです。貴方に捕われてからずっと――」」 夢中にさせた責任をこの人は――取ってくれるのだろうか。 抱き締めた背中が、自分よりも遥かに大きくて厚くて悔しいけれど、愛おしい。 全部、全部、抱き締めてあげたいと思った。 気持ちだけでも成長できたら、きっとそれはそれで嬉しいな。

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